「SMってなんなんですか!」
相変わらず、少ない女の子を何とかやりくりしながらの苦しい日々が続いていましたが、わずかながら明るい兆しが見えてもきました。
8月1日、友人の泉屋氏らの協力で念願のホームページを開設。
紙媒体の広告に頼らず、常設的に情報を発信するベースができたわけです。もっとも開設当初は掲示できる女の子の写真も少なく、真面目な作りながらも、いたってシンプルなものでしたが、それでもスペースの制約にとらわれず、言いたいことを言いたいだけ言える媒体は貴重なものです。
この頃、ちょっと面白い出来事がありました。なかなか集まらない女の子に業を煮やしていた私は、やれることなら何でもやってみようと伝言ダイヤルに自分の声で募集広告を入れていたのですが、その日たまたま気まぐれで女の子からのメッセージを聞けるコーナーに接続し、いくつかを聞いてみました。その中の一つに「まだ17歳の女の子です。ソフトSMに興味があります。やさしくSMをしてくれる方、ご連絡ください」という可愛い声のメッセージがあり、面白半分で「私は都内でSMクラブを経営している男性です。経験もあります」みたいな返事と、電話番号を入れておきました。翌日、期待もしていなかった電話があり、あっさり会う約束ができました。会ってみると、子供のような顔立ちの小柄な女の子です。聞けば、あと1週間で18になるので車の免許を取りたいがお金がない、高校は退学したとのこと。内心「しめた」と思ったのは言うまでもありません。この子が、後に一大戦力となった『舞(18歳)』です。
ところで、私はSMクラブの料金とは、決して「買った女を自由にする」ためのものではなく、ある一定の時間、本来ならSMに必要な信頼関係と、肉体的な危険負担を補うための「保証金」と考えています。そのため、料金を常識的な金額に抑えるためには(女の子のメンタルな部分は金銭に換算しにくいですから)、不足部分は可能な限りクラブを運営する側が補填すべきだと思います。そのため、私のクラブではメンタルケアを担当する専属女性カウンセラーと健康・衛生面をケアする現役の看護婦さんを備え、女の子が少しでも安心してSMという仕事を楽しめるように配慮しています。そんな気持ちが少しは伝わってくれているのか、私と女の子達との間に信頼関係が次第に築かれ、他の風俗店に比べれば収入は少ないものの、辞めていく女の子はほとんどいません。
8月の後半、お盆明けに入ってきた『彩香(20歳・学生)』『レイカ(23歳・帰国子女)』の2人組もそんなケースです。この2人、連れだって面接にやってきたので、初めは友達同士かなぁと思っていたら、実は従姉妹同士。2人ともSMに興味は持っているものの、プレイ経験などあるはずもなく、自分がSとMのどちらをやりたいのかも分からないようでした。この彩香が初めてついたお客様というのが、ちょっと変わった方でした。服を脱がせることもなく、ベッドの上で仰向けにさせたまま両腕をしっかり押さえ込み、ひたすら大声で別の女性の名を叫ぶのです。時間中ずっと耳元でこれが続き事務所に帰ってきたときにはもう彩香は放心状態でした。彼女にしてみれば自分のアイデンティティを破壊されたようなショックだったのでしょう。目に涙を浮かべながら「鷹木さん、SMってなんなんですか!」と喰ってかかりました。今日が初日の彼女に、服も脱がずに済んで楽な客だったと、風俗嬢的な気持ちの切り替えを求めるのはまだ無理でした。
その彩香もレイカも、最初の何度かはM嬢として仕事をしましたが、その後揃って女王様に転向。まだ修行中ながら元気に事務所に顔を出しています。彼女らの紹介で『エリカ(22歳・専門校生)』も入ってきました。
だんだんと女の子の数も増え、事務所の環境も良くなってくるに連れて、少しづつですがホームページを見たお客様を中心に、利用していただける方も多くなってきました。まぁ、それでもまだまだ大赤字ですけど。